それぞれの心情(短編)
□決戦後―The last discussion―
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「お、お待ち下さい!貴方は一体…!?」
只者ではない雰囲気に臆しながらも問うてくる彼を、平子は面倒臭そうに見る。
「すぐ終わるし迷惑は掛けへんて。つうかアンタらに断り入れなアカン義理なんざホンマは無いねんで。退けや。」
舌打ちでもするかのような顔で平子は凄むが、正義感が強いらしい彼は引かなかった。
―こいつ早死にしそうなタイプやな
まっすぐ見返してくる彼の目を見ながら漠然と思うが、平子には何ら関係ない。
関係ないが―
―なんで思い出すんやろなァ…
記憶を呼び起こすのも躊躇われる、百年以上も前の自分を。
無意識に平子は死神だった頃の自身と彼を重ねていた。
かつての自分もこのように、ただ純粋に周りを守りたかっただけだった。