other(短編)
□One soul and two existence
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何だか怖くなって、スタークに訊いてみる。
「意外とめんどくせえこと考えるんだな」と言って、スタークは顔も面倒臭そうにしかめたが上を向いて考え込んだ。
「…まあ、俺たちはアレだ。双子みてえなモンだろ、一卵性の。」
「双子!?」
今度はあたしが顔をしかめる。
『双子』というものは知っている。しかも一卵性は往々にして顔がそっくりだという―
「あたしスタークと似てないぞ!そんなオッサン顔じゃない!!」
「…そりゃそうだ。俺もそんなガキくせえ顔は御免だ。」
あたしが更なる抗議をしようとすると、「『みてえなモン』つったろ」とスタークは呆れる。
「魂が一緒だろうが、物質としての体が別れた以上はもう別もんで、それは『他人』と見なして良いんじゃねえのか。お互いがもうそれぞれ意思持って確立してんだろ。俺とお前が見聞きしてるもんは同じじゃねえし、考える事も違う。」
「少なくともオマエみたいに面倒なこと考えるくらいなら俺は寝る」とスタークは言って、「堂々と言う事かよ」とあたしは可笑しくなった。
確かに、スタークは地面の感触など気にしないだろう。
でも…うん。
そっか。そうだな。
孤独だったら、こうして笑う事もない。
そう思いながら月に照らされた地面に目を向ける。
…そっか。そうだよ。
人影が、二つ並ぶ事もない。
あたしは、こそっとスタークに近付いた。
寄り添うようになる影を見て、何故だか少し、泣きたくなった。
【El fin.】