仮面の軍勢・ぐだぐだ小説(短編)

□平子さんの誕生日
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「なあ、明日なにか用事あったか。」


腕時計を修理していた拳西が突然そう言ったのは、5月9日の夜だった。


彼の言葉に平子を除く仮面の軍勢衆は顔を上げ、キョトンとする。

ちなみに平子は新作ゲームとCDを購入したとかで自室に引き込もり中だ。



「何か引っ掛かるんだよな…。」


首を傾げる拳西に、白が「明日って何日〜?」と訊く。
休日も平日もない彼らは、まずそこからである。
「10日だ」と答える拳西も、実は時計の表示をカンニングしているという有り様だ。



「5月10日…そういやウチも引っ掛かるな。」


ひよ里も神妙な顔で考え込む。


「何や知らんのか皆。しょうがないな、教えたるわ。」


「判るのかリサ。何だ?」


やれやれ的口調のリサに拳西が問うと、彼女は「よォ覚えとき」と眼鏡を光らせる。


「明日はな……あたしの愛読グラビア雑誌の発売日や。」


拳西は訊いた事を後悔した。



「5月10日…5…10…ゴトーさんの日…」


「誰だよゴトーさんて。…何かよ、身内ネタだった気がしねえ?」


ぶつぶつ呟くローズにラブがツッ込んで言うと、ハッチが同意する。


「確かにソンナ気が…ア、もしかして誰かの誕生日とかじゃないデスか?」


閃くハッチにリサが素早く反応する。


「あたしとひよ里と白は違うで。男子のは知らん。」


「何その清々しいまでの男女差別…。ボクも3月17日だから違うけどね。」


ショックを受けながらも抜け目なくアピるローズ。


「オレも10月だから違うぜー。」


続けてラブが言うと、「ワタシも」「俺も違うな」とハッチ、拳西も次々に応えた。

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