冷めゆく熱

□歪んだ愛
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何があった…?

『………』

何も分からない…。

突然聞こえた誰かの囁き。

―欲シイモノハ全テ手ニイレレバイイ…。―

直後に身体が動かなくなった。

いや…身体は動く。

身体は動いてる…。

けど…俺の意思じゃない…。

勝手に身体が動いてる。
ゆっくりとベッドに近づいて…手をのばすその先に眠る愛しい人…。

何をする気だ…やめろ…。

言うことを聞かない身体…。

どんどん彼女に近づいていく…。

やめろ…やめろっ!!

彼女に手を出すなっ!!

俺の身体は俺の言葉を受け入れない。



…やめ……っ。

ギリ…。

『…っ…ぁ…』

そこでプッツリと意識が消えた…。

そこから先の記憶は…ない。

気がついたのは、なにかがベッドの上に落ちる音を聞いてから…。

とても小さい微かな音。
情景は何も変わってない。

何も…変わってはない筈だった…。

彼女を見るまでは…。

薔薇の花びらが散らばる真っ白なベッドに横たわる彼女。

透き通る肌についた首筋に残るアザ…。

記憶が混乱する…。

彼女は息を…していない…。

まさか…まさ…か…。


俺が…手にかけ…たのか…?














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