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□夏 「片思いよ大胆に」
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夏 「片思いよ大胆に」







あれから暫く時が経って、気がつけば夏休みも目前やった。

少し高校生活に慣れてきたからやろうか、遅刻や欠席者も増えてきている。


俺は、というと一応ちゃんと授業は受けとる。

ノートかて提出があるから、しっかり取ってるし、かといって部活も趣味も疎かにはしてんかった。


ただ……問題が一つあるとしたら。
間違いなく遠野夏未さんのこと。


2日に1回はメールする仲になっとって、自分でもびっくりや。


遠野さんは真面目。

仲良くなって気づいたことやけど、成績もめっちゃ良くそれを裏付けるほどの努力家。

そして律儀。メールを連絡せず途中で切られたことは一度だってなかった。

「明日早いから寝るね」だとか「勉強するね」だとか、「お風呂入るね」
だとか。とにかく一言いうてくれた。


せやから俺も、返事まだかなーなんて思いながら夜を明かす、
なんていうユカリが読んでた少女マンガの主人公のようにはならずに済んだ。



仲良くなればなるほど、プラスの面しか出てこーへんってのも何かなあ。

そんなことを部活仲間に漏らしたら、ノロケか! と一氏には怒鳴られた。



そう。順調すぎるくらい順調やのに、不安が消えないのは、何でなんやろうか。


その不安を何とかして埋めたいという気持ちと裏腹の、押しすぎて嫌われたくないという思い。



我ながら面倒くさい。

恋って大変やねんなあ。



たわいもない内容の遠野さんからのメールに返信してから、軽く息を吐きだした。




 

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