しょーと*
□哀しくなどありません
1ページ/2ページ
真っ青な空。
真っ赤な土。
そんな極端な色の間に
挟まれている俺の目に映るのは、
倒れていった仲間だったものと
醜い獣のような顔をした、
「天人」という生物。
見慣れた世界だ。
これが俺の日常風景、
悲しくはない。
先生が消えたその日から、
俺の目は何を見ても白と黒、
そして赤しか映さなくなったから。
そんな中俺の目は
新しいものをみつけた。
赤でも黒でも白でもない。
美しい桜の花、
──────────
──────……
「先生!桜の木がある!」
「本当ですね、なんと美しい。」
「でも先生、今はまだ春じゃないのに
どうしてこの桜は咲いてるの?」
「"狂い咲き"といって、
ごく稀に季節を間違えて
咲く花もあるんですよ。」
「ふうん」
「季節を間違えて独りきりで
花を咲かすことになっても
誇らしく咲いてる桜は
より一層美しいですね。」
「おっちょこちょいな桜だね」
「ふふ。あとで銀時たちにも
教えてあげましょう。」
「え゙ー、あいつらにも教えるのー?」
「はい。みんなでお花見でも
しようじゃありませんか」
───…きっとこの桜も喜ぶでしょう。