流れ星の唄声

□08.生きるということ
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そんな日々にも限界が来た。



何か食べるものはないかと
ふらふら歩いていたのだが
急に眩暈がして倒れてしまったのだ。



倒れた時に少し切ってしまった唇から
血が流れる。



鉄の味を感じながらぼーっとしていた。








体が動かない。

何も考えられない。






だんだん虚ろになっていく意識の中で
近づいてくる足音がきこえた。




(…………おとこ?)





だが今の自分では逃げることはおろか、
立つことすらできない。




(ああ、でももういいや。)




きっと私はこのまま死ぬ。

私は何だったんだろう。


どうして生まれてきたのだろう。



この世界が私にくれたものは
恐怖と苦しみと孤独だけ、



ただ、私は、



『わたし、は、……』





誰かに愛してほしかった。











自然と涙が零れた。

私にもまだ恐怖以外の感情が残ってたんだね


悲しいってこういうことなんだ。



なぜかそれにほっとして
そのまま目を瞑ろうとしたとき、
誰かがその涙を指で掬い取った。





その誰かを見上げるとそこには優しい笑顔。








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