ワンコイン。
それが、僕という生き物の価値であった。別に不満なんかなかった。「はねる」ことしか出来ない僕には、上等過ぎる価値だった。
しかし、やはり僕には誰にも見向きされなかった。当然だと、知っていた。僕にワンコインの価値を付けた男の人が、話しかけた男の人に言われていたのだ。
非力で、何の役にもたたないポケモンを何故買う必要があるんだ?
嘲笑を僕に向けつつ、その男の人はそう言った。哀しかったけれど、確かに僕は「はねる」ことしか出来なくて。僕は役立たずなんだなぁ、と苦々しい気持ちを咀嚼した。

「―――たったの500円!どう?」

偶然ポケモンセンターを利用した、つんつんした茶色の頭、きらきらと輝く茶と金の間の色合いをした瞳の少年に、男の人は僕を売ろうと必死に僕をアピールしている。どうせ買われっこないのに。僕は役立たずなんだから。

「じゃあ、こいつ」
「…買ってくれるのかい?ありがとう!」

少年が指差しているのは、間違いなく役立たずの僕で。思わず少年を見つめれば、少年はにこりと笑った。

「水タイプ、欲しかったんだよ」

これからよろしくな、そう頭を撫でる少年に、涙がこぼれそうになったのを覚えている。

「ギャラドス!たきのぼり!」

いつの間にか、僕は役立たずではなくなった。身体が大きくなって、色んな技も覚えられるようになった。
なにより、

「ギャラドス、よくやった!」

グリーンの役に立てるようになった。
あのとき僕を買ってくれた少年は、役立たずの僕を見限ることなく育ててくれた。今はジムリーダーなんていう、凄い地位についた少年はいまだに僕を側においてくれている。それどころか、大切に慈しんでくれている。幸せだなぁ、そう思う。

「次も勝とうな」

グリーンが望むのなら、僕はいくらでも勝利を捧げよう。たとえ相手が、君の幼馴染みだって。君が望むのなら、僕は負けないから。
だから。ずっと笑っていて?愛しき主。





ギャラドス ♂

さみしがりな せいかく。
1XXXねん ○がつ×にち 3ばんどうろで Lv.5のときに であった。
ちからが じまん。






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