てにす

□不意討ち
1ページ/1ページ






「仁王先輩…」
「ん?」
「ここってどうやって解くんですか?」
「あぁ、それは…」


お手上げだと言わんばかりに先輩を見ると、先輩はパラパラと教科書を捲り解き方を説明してくれる。


「この公式に当てはめて」
「こう、ですか?」
「そうじゃ。で、これをここに代入して─」


私たち立海テニス部はただ今テスト勉強中です。
期末テストを4日後に控えた今日、



…って近っ!



仁王先輩近いです…!
向かい側に座っている先輩は私に教えるため身を乗り出している。
顔を上げたとき、先輩の綺麗な顔が思ったよりも近くにあってドキドキしてしまう。
ちょうど私の目線に先輩の首元があって…うわ、チラチラ見える鎖骨が色っぽい。
私が先輩の首元を凝視していると


「…えっち」
「うぇ!?な、なんですかっ」
「今、何処見とった」
「え、あ…」


鎖骨です、だなんて言えない。
ていうか多分先輩わかってて言ってるな。反応見て楽しんでるよね。


「あ、あの…」
「ククッ、そんなに顔赤くして厭らしいことでも考えとったか?」
「ち、ちち違います…!」


思わず大きな声を出してしまった。案の定真田先輩に図書館では静かにせんか!と怒られ、柳先輩には呆れ顔をされる始末。

あ、真田先輩の説教が始まった。
だいたいお前は落ち着きがないだの赤也と同じく赤点が云々だの。
はい、耳が痛いです。
ていうか先輩も声大きいです…
何て言えるはずもなく、ガミガミと言われる私に助け船を出してくれたのは幸村先輩だった。


「弦一郎、それくらいにしておけ」
「む、だが…」
「赤也が教えて欲しい所があるそうだ」
「え!?んなこと俺言ってないっすよ!」
「赤也?」
「…ここ教えて下さい」


うわぁ…
幸村先輩すごく良い顔してる。
私が叱られてる時よりも良い顔してるよ…。


「なまえ、俺たちも続きやるぜよ」
「あ、はい」
「ここからじゃな」


先輩に言われた通り問題を解こうとするががいまいちペンが進まない。
集中しようとしても気が散ってしまうのだ。
時計を見れば始めてから2時間近く経っている。
通りで集中力も切れるわけだ。(そこ、短いとか言わないの)


「なまえ、ペンが止まってるようじゃが」
「あはは…」
「仕方ないのぅ、こっち来んしゃい」
「?」


私は言われるがままに席を立ち仁王先輩の元へ向かう。


「先輩?一体何で…っぎゃ!な、ななな何してんですか!」
「何って勉強飽きたんじゃろ。ナニしようかと、」
「セクハラです!」


今の私の格好はと言うと膝立ちで先輩に乗っている。つまり向かい合わせになって私が先輩に跨がっている状態だ。腰に腕を回されて椅子から降りられない。

あぁ、もう。真田先輩が顔を真っ赤にしてわなわな震えているじゃないか!
…幸村先輩に柳先輩に、ニヤニヤしてないでどうにかして下さい。


「んぎゃ!何撫でまわしてんですか!離して下さいよ!」
「勉強、飽きたんじゃろ?」
「いいいいえ!そんなことないですからね?全然ないですからね?」
「ほぉ…」
「だから、」


ほんの一瞬だった。
気づいたら先輩の顔がすごく近くにあって、軽く触れると離れていった。


「良い点取ったらご褒美に続きしてやるけぇ。頑張るんじゃよ」
「っ結構です!」


勉強道具を乱暴にかき集めると私は図書館を飛び出した。







(逃げられちゃったね、仁王)
(プリッ)
(フフ、羨ましいよ)
(…お前さんも居るじゃろ)

(べ、別に勉強するのはご褒美のためじゃないですから)








別に期待してるわけじゃ…
みたいなね。
メンバー全員書きたいです、テスト勉強シリーズ!


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ