てにす
□沈む、沈む
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「ん…」
ふと目が覚めて時計を確認すれば午前2時過ぎ。
眠りについてからはそれ程時間が経っていないのだろう。
外はまだ暗い。
横で眠っている蓮二は静かに寝息を立てている。
覗き込めば、整った綺麗な顔。
起こさないよう、そっと頬に触れる。
「ん…」と声をあげる蓮二に起こしてしまったかと内心ビクつくと同時に、つい数時間前まで行われていた行為を思い出し、顔がかあっと赤くなった。
快楽に歪む顔、普段は見ることのできない熱を孕んだ視線。
薄い唇は私へ愛を囁く。
「すき…」
普段は恥ずかしくてあまり言えない言葉を口にしてみる。
私もちゃんと蓮二のことを思ってる、という気持ちを込めて。
寝ているために聞いてないも同然だけれど、こんなときでなければ言えないのだ。
額にかかる髪の毛をはらり、払う。
ああ、どうしようもなく愛おしい。
(キス…したい、かも)
頬に手を添え、もう片方は自分を支えるために適当な場所に置く。
慣れない動きで唇を重ねれば何してるんだろう、と沸き上がる羞恥。
自分からキスするなんて。
「…っん!?」
蓮二から離れようとするが、突如として後頭部に回された腕によってそれは阻まれた。
びっくりして目を開けば至近距離で視線がぶつかる。思わずぎゅっと目を瞑った。
「ん…!んんっ」
がっちりと頭を押さえられ、舌を捩じ込まれれば、激しいこの行為に頭がくらくらする。
流石に限界だと肩を叩けば、唇が離され、私は目一杯空気を吸い込んだ。
「っは、は…」
「夜這いとは随分と良い趣味をしているななまえ?」
クス、意地悪そうな笑顔で私に問いかける。
「ち、ちがっ」
つぅ、と首筋をなぞられれば体がビクリと反応する。
「眠る俺の唇を奪っておいてよく言う」
「そんなこと…っ」
あの程度では足りなかったか?
耳元で囁かれる言葉は甘さと艶を含んでいて私を動けなくさせる。
本当に蓮二は私を追い詰めるのが上手だ。
「れ、んじ、近い…」
「そうしているのだから当たり前だろう」
瞳に映るは欲情の色。
ああ、今なら捕食される動物の気持ちが分かるかも知れない。
「れんじ…」
「最後まで付き合って貰うぞ」
キスは始まりの合図。
布の感触を背に感じ、ゆっくり目蓋を閉じる。
夜はまだ明けぬ。
若干えろ。
柳(に限らず三強も)の性欲は凄そう。
…ごめんなさい。