てにす

□消散した唐突
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「は?」





この男の言うことはいつも唐突だ。





「だから今日は出掛けるのやめよう」


「何で?」


「態々こんな混む時に出掛けなくてもいいじゃないか」





少し遠出しようと話を持ちかけたのは精市で、今日のために早起きしたし、凄く楽しみにしてたのに…


なまえはそっと溜め息を吐いた。





「俺はなまえと一日中一緒に居られて嬉しいんだけどな」





溜め息が聞こえていたのか否か。


頭上から降る声と、するりと首に回された腕に驚いて肩が跳ねる。


目の前のソファーに座っていた筈なのに、いつの間に移動したのだろうか。





「なまえは嫌?」





悲しそうな声とは裏腹に精市は笑っているのだろう。わざとだと分かっていても私がその声に弱いと知っているから。





「…別に、嫌じゃない」


「ふふ、そう」





少しの間をおいて答えれば、頭上から聞こえる満足そうな声。





「そういえばなまえのこと抱くの久しぶりだなぁ」


「…精市、言い方が厭らしい」


「なまえを抱いてると何だか落ち着くんだよね」


「……」





私の話は無視ですか。

まぁ、話が噛み合わなかったりするのは慣れっこだ。
でも互いに一人で話してるみたいで虚しいような…



そんな思考が打ち消されたのは、精市の指が素肌を這いはじめて直ぐ。





「、何してっ」


「そうだな、スキンシップ?」


「どう考えてもセクハラでしょ!」





首に回された腕が緩んだ隙に精市から逃げ出そうとしたが、その行動を先読みしたようで、それは叶わなかった。





「逃がさないよ」


「っ!」





くるりと体を反転させられ、肩を押されれば重力に従う私の体。


ソファーに沈む私は精市に挟まれて逃げ場を失った。




「逃げられなくなっちゃったね」


「…そうしたのは精市のくせに」


「ごもっともだ」





ふふ、と柔らかな笑みを湛える口許が綺麗に歪んだ。





「俺は、今日みたいな日は外出しないで家で有意義に過ごすべきだと思うんだよね」


「有意義に…?」


「そうだね、例えば――






 
―――とか、ね?










GWの話(のはず)
えろにはしるのか、それとも、


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