てにす
□惚れ薬
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「なまえ」
「何?幸村」
ちょっと、と私を呼ぶのは斜め後ろの席の幸村。
ちなみに今は放課後で教室には私たちを含めて数人しかいない。
だからこそ素直に幸村のもとへ向かうのだけど。
「部活は?」
「用事が済んだら行くよ」
私が呼ばれて用事、ってことは何か頼みたいことでもあるのかな。
机の横に突っ立ってると隣の席に座るよう促された。
「はい」
「ラムネ?」
「違うよ、惚れ薬」
「惚れ薬?いや、ラムネでしょ」
はい、と渡されたのは何処にでも売ってる小さなラムネ。
これは私も食べたことがある。断じて惚れ薬なんかではない。
「貸して」
「あ、」
私からラムネを奪い取り2、3粒ほど手に出すと徐に口の中へ入れた。
私にくれるんじゃないのか。
幸村の行動はたまに意味不明で一体何がしたいのかわからない。
「幸村、っん…!」
いきなり口づけられた。
無防備な口はあっさりと幸村の侵入を許し、コロコロしたそれは熱と唾液とでどろどろに溶かされる。甘いような酸っぱいような味が絡められる舌によって広がった。
「、は」
「ゆ、きむら」
「ん?」
今の私の顔はきっと真っ赤に違いない。
「幸村、」
「何?」
「…こういうの、反則だと思う」
どうやらラムネは幸村によって惚れ薬へと変えられたらしい。
幸村は口の端をぺろりと舐めるといつものように笑った。
「効果絶大でしょ?」
ラムネで惚れさせちゃおう作戦(そのまんまだ)です。
柳でも書く予定です^^