ぎんたま

□洒涙雨
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「晋助」
「…あん?」


名前を呼ぶとワンテンポ遅れて返事が帰ってくる。


「外、雨降ってる。織姫様と彦星様会えなかったのかなぁ…」


ククッと晋助が笑った。


「おめェ知らねーのか」
「え、なに?」
「七夕に降る雨は逢瀬の後の惜別の涙とも言われてんだよ」
「へぇ…」
「年に一回しか会えねーからなァ。離れがたいんだろうよ」


年に一度、私たちも同じではないか。
ポロリ、涙が溢れる。
それを晋助の指が拭った。


「…なまえ、泣くな」
「泣いてない…」
「嘘つけ」


涙を拭ってくれる手を掴んだ。


「…寂しいよ、晋助」


夜が明けたらまた貴方は行ってしまう。
目が覚めて貴方が居ないことがわかった時の気持ち、わかる?
起きた時には居ないってわかってても辛いんだよ。

晋助の体温を感じたくて蒲団に押し倒して口づけた。はぁ、と息を吐き首筋に舌を這わす。


「おい、」
「…私がする。黙ってて」


私がする、と言ったは良いもののやはり上手く出来なくて。
晋助はそんな四苦八苦する私の様子を愉しげに眺めている。


「…あ、あっ」
「ククッ、いい眺めだな…っ」
「ひ、あぁああっ」


言葉尻に合わせて突き上げられ、呆気なく果ててしまった。
その後は我慢の限界だと言った晋助に激しく揺さぶられ何度もイかされた。気を失っても起こされ朝方まで続けられる行為に頭がクラクラした。







「ん…」


朝、目が覚めるとやはり隣に晋助はいなかった。
まるで何もなかったかのように衣服も整えられている。
蒲団を探っても温もりは感じられない。





「晋、助…っ」




貴方を思うと涙が止まらないよ。










洒涙雨


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