ぎんたま

□止まない雨はない
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「何泣いてんだァ?」


何これ、幻聴?
やばい。私の頭やばい。


「おめェ聞いてんのか」
「…幻聴、幻聴だ…私相当重症なのね、病院に」
「シカトするたァいい度胸だな」
「!?」


首筋に生暖かい息が触れて肩が跳ねる。


「…おばけ?」
「んなわけあるめぇよ」
「晋助…?」
「そう言ってんだろーが」


お腹に腕が回された。
あー、この触り方は晋助だ。この厭らしい手つきは晋助なんだけど…


「何で居るの…?」
「居ちゃ悪ィのか」
「ううん、嬉しい。でもビックリした」
「迎えに来るって言っただろーが」
「…聞いてない」


私が言うとチッと舌打ちした。


「いつ言ったの?」
「ヤった後」
「…覚えてない」
「ククッ、意識飛ばしたからなァ」
「……」


きっと昨日のこと思い出してるんだろう。凄く楽しそうだ。
エロオヤジ、と言えばまだオヤジじゃねェ、と返された。
それから急に真剣な声になって。


「待たせて悪ィ。一緒に来い」
「うん…っ」
「泣き虫だな、なまえちゃんよォ」
「…晋助のせいだから」




泣かした責任、とってよね。



抱き着いて耳元で言ってやった。







「勿論そのつもりだ」






止まない雨はない


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