ほか

□カーディガンと彼女
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「なまえ」
「あ、悠太」
「…それ、誰の着てるの?」


朝は着てなかったよね、と明らかにサイズの合わないカーディガンを指して言う。


「あ、これ祐希の」
「あぁ、祐希の」
「うん。寒い寒い言ってたら貸してくれた」
「そう」
「うん」
「……」
「……」
「…脱いで」


悠太は言い終えると同時にカーディガンに手をかけた。


「え、な、な何」
「これ、祐希に返して。俺のがあるからそっち着て」
「なんで…?」


なまえって時々鈍いよね、と呟くと溜め息を吐く。


「…弟と言えど他の男のものを彼女が着てるっていうのは面白くないわけです。一応彼氏なんで」
「それって…」
「なに?」
「やきもち?」
「…悪い?」


悠太も妬くんだ!と嬉しそうななまえは放っといて鞄の中からカーディガンを取り出した。


「悠太かわいー」
「うるさいよなまえ。黙ってコレ着て」
「ありがとう。んー、悠太の匂いがする」


カーディガンに顔を埋めて言うなまえに若干ひいたということは黙っておこう。


「なまえ、変態くさい」
「だって良い匂いなんだもん。悠太匂いの落ち着く」
「…そう?」
「悠太照れてる」
「照れてないってば」
「照れてるよね」


取り敢えずうるさいなまえを黙らせなければ。
引き寄せて顔を自分の胸に押し付けた。


「もう、うるさいよ」
「ちょ、んー!」




「わ、悠太大胆」
「何やってんだあいつら…」





カーディガンと彼女


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