短編
□罪悪感
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母を殺されたとき、悔しかったし泣いた。
このときの俄雨は幸せを壊す犯罪に怯える、か弱い子供だった。
母が殺されたとき、哀れな亡骸を見て、悲劇を生み出す罪人は死ぬまで反省させねばと決意した。
否、二度と同じような悲劇を生み出さないように、この世から抹消すべきだと決意した。
けれど、それは失敗に終わってしまった。
奇抜な髪色の青年が現れなかったら、今頃この世にはいなかっただろう。
悔しかった。憎悪だけを燃やしてきた自分が、今更こうして無力感に打ちひしがれているという事実が、無性に悔しかった。
(僕は)
俄雨は悶え苦しんだ。
憎たらしい卑屈なあの笑顔が浮かび、死ねばいいと思っていたのに目の前の光景は望みのものではなかった。
もはやどれが本心なのかもわからなかった。
反省しないと。
でも反省の仕方がわからない。
どのくらい反省すれば罪は浄化されるのだろう。
誰か裁いてくれる?
誰か、お願いだから。
誰か、誰か。