短文部屋

□五輪競技
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「―――速い、速い、日本の雲雀選手 速いです。前半リードしていたアメリカのエリック選手をどんどん引き離していきます。」


実況の興奮した声が聞こえる。


当たり前だ、群れるのが嫌いな彼が、それを我慢してまで出場するほど、今日のこれに夢を懸けていたんだから―。


そう思い、見つめる先に今期オリンピック一番の注目の的雲雀 恭弥がいる。


顔を覆う大きなゴーグルのせいで分かりにくいが、その下には端整な顔立ちと切れ長の鋭い瞳が隠れていることを、彼、沢田綱吉は知っている。


今、彼がいる場所は、スタジアムの応援席でも、ましてや競技場の上でもない。


そこは、選手と選手のコーチだけが入るのを許された特別な場所。


誰もが声を張り上げ応援し、興奮した雰囲気の中、綱吉だけは、冷静に、しかしその目には熱い何かを秘めながら、雲雀を目で追っていた。


「―勝つんだよ、恭弥。君の夢は、もうすぐそこにあるんだよ。」


誰の耳にも入らなかった小さな応援。


しかし、雲雀にはそれが伝わってきた。


声なんか聞こえるはずがない、競技中は、膨大な応援の声すら聞こえないのだから。


それでも、愛しい人の声というのは聞こえるのである。


もう少し、あともう少しだから。


この先を夢見て、初めは一人で追い続けてきた。


しかし、群れるのが嫌いな彼にとって唯一側にいることを許した綱吉と出会ってからは二人で追いかけた。


自分のためだけではない、彼のためにも勝ちたい。


そう願い、頑張ってきた。


「ゴールが近づいてきました。ここでますますの追い上げをみせます。
あと、30m、20、10m・・・・・」


早く彼の喜ぶ顔がみたい。その一心で進む、進む―。


「―フィニッシュ!雲雀選手 たったいまフィニッシュしました!
 世界記録を大幅に更新して、金メダルを獲得です!!!」


―なんとも言えない高揚感が彼を襲う。


ゴーグルを外して、まず探すのは、愛しいあの人。








―彼は、今まで見たこともないような綺麗な顔で笑っていた。


そして、この世で一番好きで、一番聞きたい一言をくれる。




「―おめでとう」




+++感想+++
・・・駄目だ!オリンピックなんて分からない><
しかも、なんていうか、ヒバリさんに似合ってないorz

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