短文部屋

□餅を焼いて修羅を燃やす
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…つまらない


…つまらないったら、つまらない


…ものすごーくつまらなくてー


「何が悪いーーー!!!!」


執務室にて、いきなり叫んでしまったので、ビビクッと近くにいた自称右腕君が驚いたりしたが、気にしない。





名称 沢田綱吉、年齢 自称永遠の20歳ー


見た目 高校生、容姿 蜂蜜色の髪と目を持つ青年


職業 マフィアのボス…


とかいう、大層な肩書きを持つ麗しい青年は只今、ご乱心中であった。


ーその原因は、彼の最愛の恋人であり最強の守護者、雲雀恭弥にあったりして…




時は、20XX年


嫌だ、嫌だと言っていたのに結局、ボスになってしまっていた綱吉…


初めこそ、それはもう昔と変わらず恐怖の象徴である家庭教師様に、無理矢理させられていた仕事だが、今ではすっかり板について、持ち前の大空のような暖かさも磨きをかけ(?)、皆から慕われる素晴らしいボスとなっていった。


すべては、順調にいっていた。


が、そこにはたった一つだけ問題があった。


それは、恋人と過ごす時間が少ないという事だ。


自分は執務に追われ、彼は世界中を飛び回って匣の謎を追っている。


仕方がない事とは言え、やはり寂しい。


いつも彼の帰りをまだか、まだかと待っている。


そして、今日、数ヶ月ぶりに雲雀が帰ってくる。


「早く、恭弥さんに会いたい…」


その一心で、出迎えようと急ぎエントランスへ向かった。



「・・・から、君は・・・だってい・・・しょ」


「まあま・・・だから、すこ・・・だろ」


エントランスの方から、話し声が聞こえてくる。


どうやら、もう雲雀は帰って来ているようだ。


話し声のもう一人は、山本のようだ。


雲雀は、任務から帰って来た山本に丁度出会し、捕まってしまったようだ。


綱吉は、早く雲雀に会いたいのは山々だが、二人きりでゆっくり会いたいので、物陰に潜み様子を伺う事にした。


ここからは、会話の内容がほとんど聞き取れないが、どうやら雲雀が一方的に話しかけられているだけのようだ。


「それなら、早く山本よ 去ってくれーー!!」なんて、友達に対して、少々酷い事を思っていると、


「な!?!?」


“山本が、雲雀の肩に手を回し、耳打ちした”


…事実は、それだけだ。過度なスキンシップをとる友人には日常的なことなのかもしれない。


でも、綱吉にはちょーっとばかし事実が歪曲して見えていた。


「やっ、山本が恭弥さんに抱き着いて、耳元で甘く囁いている!!!!!」


綱吉がいた場所が悪かったのかもしれない。あるいは、雲雀と会うのが久しくなかったならば、その様子を冷静に見れたかもしれない。


だが、運悪く綱吉がいる場所からは二人が重なって見えたし、随分と会えていないので、綱吉は『絶賛☆雲雀不足中』なのであった。


脳内で、事実が組み換えられるのも無理はない。


“雲雀が山本を押しのけようとした”


その事実もまた、


「恭弥さんも、山本に抱き着こうとしているーー!!」


と書き換えられてしまった。


残念乍ら、こういう時には、超直感は役に立たない。


うわーーーーーん  恭弥さんのバカヤロォォォオオオ!!


そう叫びつつ、綱吉はその場を走り去る。


…残念な事に、その声は当の本人には届かなかった。
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