青空ラバー

□shoot4
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「よォし!!休憩終わりだ、次スリーメン!!」

「「「「はいっ!」」」」




赤木の号令で練習が再開し、選手たちがコートの中へ散っていく。




「....ん」




楓が自分のタオルと飲み物を手渡す。




「はーい、いってらっしゃい!」

「...うす」




いつものように短く答えて彼はコートの中へ入っていった。
大きな背中を笑顔で見送る愛。

しかし練習が始まった途端に真顔になった。
拳を握りしめる。
それに気付いた彩子は軽く愛の背中を叩く。




「平気?アタシ、代わろうか?」

「いや、大丈夫。私が行きます。」




(確かに、あんまり行きたくないけど)




「......彼女、だもんね。」

「はい。

私が、楓の彼女です。」




ファンに負けてられないですよねっ!

そうハッキリと口にして、愛は出入口の彼女たちの方へ足を進めた。
しっかり前を見て、姿勢正しく。

彩子は知っていた。
2人が付き合っていることを。

いつから付き合い始めたのかわからない....と本人たちですら曖昧な言い方をする程、ずっと一緒だった2人。
お互いにお互いしか見ていない彼ら。

そんな2人を温かく見守りつつ中学を卒業した彩子は、高校になっても変化なく付き合い続けている事を本当に喜ばしく思っていた。




(愛、絶対に負けちゃダメよ....)




ただ、愛が心配で仕方ない。

彼女の心は、15年分の傷を負い

陰をつくっているのではないだろうか..?
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