Platinum Soul---プラチナのタマシイ---


□Platinum Soul
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のどかな日常--------
この城でそんな光景が見られる様になる事を、一体誰が想像したであろうか。
明智軍の兵にとって、その奇跡をもたらしためぐはもはや、女神と化していた。













「めぐは誰にでも愛されますねぇ...」


私のめぐなのに、と言いたげな主の口調に苦笑しつつ、利三も頷く。


「めぐ様ご自身は気付いておられぬ様ですが。」

「....厄介ですね......」


執務を行っていた手を止め深くため息をついた光秀は、誰かがこちらへやってくる足音に耳をそばだてる。


「あぁ...この足音は..」


ゆる..と表情を和らげる。



「光秀----!休憩しませんかっ?」

襖が開き、ひょこ..とめぐが覗き込む。
その瞬間、部屋の中は光が溢れるのだ。



(めぐは光
金色の光
私を照らす 唯一の希望-----)


「昨日土産渡し損ねたからさ。
今大丈夫?」


もちを片手に首を傾げる彼女をほほえましく思いながら、光秀は立ち上がった。


「調度手を休めていた所でした。縁側で頂きましょう。」

「利三さんも一緒に!
おもち、3つなの。私と光秀と、利三さんの分!」

「....めぐ様あぁっ....!!!!(感涙)」


(....利三、鼻水垂れてますよ......)


光秀はやれやれ、と腰をおろした。















「おまえは何も買わなかったのですか?」

「うん。団子食べただけ。
...自分より光秀に何か買いたかったんだけどね..;;結局おもちだけになっちゃった。」


ごめんね、と眉をさげて苦笑するめぐ。


「.....十分嬉しいですよ、めぐ。」



愛おしい...日に日に募っていく想いは止む事を知らず、慈しむという行為を理解できる様になっていく。



(私は人間----------

おまえと同じ ただの人間ですね.......)



光秀が「めぐ...」と彼女の髪に触れようとしたその寸前でめぐは、気付かずに立ち上がった。
宙を虚しく泳ぐ指先を気に止める事なく、彼女は言う。


「光秀。ちょっとだけ稽古の相手してくれない?」

「私が、ですか?
....全力ではやれませんよ。」

「....あんたが全力出したら私死ぬから....;;
あ、鎌使っていいよ!私も竹光使うから!」


お花が見えそうな程ルンルンで仕度をしに行ってしまっためぐの小さい後ろ姿を見送りながら思う。




「.....平和、ですねぇ.....」




その呟きに利三も顔を曇らせた。


「何事も無ければ..良いのですが....」

「..もし万が一、今後何があっても....何よりもまずめぐを優先させます。兵にもそう伝えなさい....」

「....御意。」











「...嵐の前の静けさ、ですかねぇ.......」










何事もない明智の城--------


それは少々、不吉な予感がした----------
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