遙か3SS

□欲望
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和議が成される。

長かった戦も終わるということだ。

「つまらん……」
和議の前夜。
煌々と光る月のもと、知盛はそうひとりごちた。

母上や帝が、このさき安全に暮らして行けるのは素直にほっとしている。
だが、自分自身については……。

そこまで考え、眉を潜める。
心の中は不満で一杯だ。
その不満のはけ口を探し、知盛は外に出た。



周りの屋敷は、明日の和議に浮かれている。
その喧騒すらわずわらしく、人気の無いほうへと足を運んだ。

そうして歩いていると、いつの間にかどこかの林にいた。

「こんな所しかないか……」
呟く。
(俺の、居場所は……)
思う……。
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