その他SS

□愚かしき指導者
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「じゃあ行かなきゃいい」
「え?」
「行かなきゃいい。それとも、OKしたいやつでもいるのか?」
内心緊張しながら聞いた。
「いえ、皆断りますよ」
その言葉にホッとしたのもつかの間、続けたヒトミの台詞に、若月はピクリと顔が引きつった。
「だって、私好きな人いますもん」
片思いですけどねーと少し頬を染め、笑う。
「何だよ、初耳だぞ?」
声のトーンが少し下がった。
「そりゃあ、はっきり言ったのは初めてですから」
ヒトミは気にすることなく話す。

「で、誰なんだ?オレ様の知ってるやつか?」
その問いに、ヒトミはすぐに答えなかった。
どうしたのかと思いつつ、答えを待った。

「………鈍い人です。何時もなら気付いてくれるのに、何故かどんなにアピールしても気付いてくれないんです」
ヒトミが語ったのは、『誰か』ではなく、その『誰か』の鈍感さだった。


少し、イライラしてくる若月。


「先生は、どんなことすれば、気付いてくれますか?」
少し困ったような目で見つめてくる。
(オレ様以外の男の話をして、そんな目で見るな!)
イライラは怒りに変わっていく。
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