その他SS

□愚かしき指導者
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十分に楽しんでから、唇を離す。
潤んだ瞳を見つめ、掻き抱きたい衝動を必死で抑える。
「これがオレ様の返事だ」
「先生・・・・・・嬉しい・・・」
そう言って首に絡み付いてきた華奢な腕。
こらえきれずに、若月はヒトミを抱きしめた。

「悪かったな・・・・・・まさか、お前に惚れるとは思ってなかったからな。・・・・・・気付くのが遅くなった・・・」
「本当ですよ。卒業式までに気付いてもらえなかったら、私諦める所でしたもん」
「そりゃぁ・・・危なかったな・・・・・・」
気付くのがもう少し遅れていたら、腕の中の少女を逃していたと思うと、悔しくてたまらない。
気付いて、本当に良かったと思う。


「ヒトミ・・・・・・このまま、お前が欲しい・・・」
本能に突き動かされ、そんな言葉が出てくる。
「え・・・・・・あ、あの。その・・・・・・」
顔を真っ赤にして慌てるそぶりは、驚いてはいるが、嫌ではなさそうだ。

クスリと笑い、口を開く。
「悪ぃ・・・心の準備ってのも必要だよな。・・・・・・卒業までは待っててやるよ。幸い、もう何日もねえからな」
そして、もう一度ぎゅうっと抱きしめ、ヒトミの耳元に囁いた。




「だから、式が終わったらオレ様のとこに来い。・・・ほかの奴のとこになんか行くなよ・・・・・・」




END
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