V

□大きくなあれ
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きっとその光の中にいる事ができるのは綺麗なモノだけだから。



【大きくなあれ】



天から降り注ぐ光はとても眩しくて、これから起こる出来事を祝福している様。
それならこの世界はなんて皮肉なものなのだ、とゼロスは小さく笑った。

吹き抜ける暖かな風。
それに揺られる花々は潤いを持って空を目指す。
鳥は囀り虫は鳴き動物達は嬉しそうに野を駆ける。
「良い話だねぇ…」
ゼロスはこの世界が今から起こる事を祝福しているのだと、はっきり思った。
世界を救う英雄達が集い、敵を駆逐し裏切り者を排除する。
そんなありきたりなストーリーのお話も、いざ自分に降りかかれば何とありがたいものなのか。
そしてその『英雄御一行』がまさにすぐそこを歩いているのだ。
これから排除される『裏切り者』と共に。

陽光を反射して輝く世界の中、ぽっかりと欠けた景観である穴の様になってしまった救いの塔へと、ロイド達は向かっていた。
まっすぐ。
まっすぐ。


 
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