V

□ring war
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「ゼロス、これあげるね」
にこにこと可愛らしい笑顔でプリティ担当の神子が差し出したのは、小さな箱。青い包みにリボンが巻き付けられた箱は、どう見てもプレゼントだ。
それを突きつけられたゼロスはただ首を捻るばかりなのだが、彼の隣にいたロイドの笑顔は音を立てて固まった。
「コレットちゃん、これなにかな?」
「開けてみてのお楽しみだよ」
花も綻ぶ笑顔でそう言った彼女に礼を述べて「開けても?」と尋ねると「モチロンだよ〜」と手で急かされる。
かさかさ。可愛らしい包みを破らないよう丁寧に開くと、中には小さな箱。ぱかりと開けると中から顔を覗かせたのは。

「ゆび…わ…」

呟いた瞬間、箱は中身諸共地面と仲良しになっていた。驚いたゼロスが落としたのではない。爽やかな笑顔でロイドが叩き落としたのだ。
「…ロイド、何してるのかな」
するとこちらもにこりと可愛らしい笑顔に影をつけたコレットが、取り出したチャクラムを素早くロイドの首にあてた。
ばちばちばちばち!
余所でやってくれと取り敢えず箱を拾って埃をはらってから地面に置き直したゼロスは額に手をあてて空を仰いだ。
仰いだ先には青い空と、青い翼。
「……え」
「神子、ここにいたか」
ふわりと降り立ったのは青い羽根を持つ天使様。基、ロイドの父親であるクラトスだった。
そして彼はロイドとコレットがとうとう術技を使って戦い始めたのを見て今が好機と見たのか、懐から取り出した赤い小さな箱をゼロスに差し出した。
この箱は見覚えがある。アクセサリー、主に指輪を入れるものだ。ゼロスには嫌な予感しかしない。
ぱかり。
「給料三ヶ月分だ」
「クルシスって給料制!?」
今度はゼロス自身が中を見た瞬間に箱を地面に叩きつけた。それを見てもクラトスの表情は変わらない。そそくさと拾い上げて埃をとると再びゼロスに握らせた。
「そうでなければあれだけの社員は集まらないだろう」
「え、あれみんな社員なの?」
間抜けな会話をしながら渡す、捨てる、渡す、捨てるを繰り返していると、気づいたロイドとコレットが駆けて来た。
きらり。剣とチャクラムが陽光を反射して煌めく。
まず駆けつけたロイドの通常攻撃・特技・秘技・奥義のコンボがクラトスに綺麗にヒット。その間に詠唱していたコレットがにこりと笑ってずっこけた。
「えへ、失敗しちゃった…。ホーリージャッジメント!」
絶対わざとだ。
少し安心していたクラトスは慌てて粋護陣をしたが、しかしロイドに剣の柄でぶたれて仰け反った。直撃したコレットのホーリージャッジメントによってクラトスはデリス・カーラーンまで吹き飛ばされた。
「あばよ父さん」
「さよなら〜」
ぱたぱたと手を振る二人を見なかったことにして、ゼロスは踵を返した。思い出は綺麗な方が良いに決まっている。
優秀な頭のメモリからロイドとコレットの犯行を削除した。

その夜ロイドに差し出された意外と器用な彼が作ったであろう指輪は、素直に受け取ったのだけれど。



end.
ギャグって…難しいです。
指輪はクラトスの以外、ちゃんとゼロスが保管しています。クラトス可哀想!
三人がゼロスに指輪を渡したのは、結婚を申し込みたかったのかな。

ユト様にのみフリーです。
リクエストありがとうございました!
 

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