V

□ジャック・オ・ランタン
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「ルーク様」
ガイが目と鼻と口を上手にくり貫いて、その小さなカボチャの中に蝋燭を入れた。
薄闇の中でぼんやりと自己主張するそれを彼は両手でよいしょと持ち上げて。
「どうです?変な所無いですか?」
部屋の窓枠から身を乗り出してガイの挙動を見ていたルークに掲げた。
と。

「……!」

ぶわりと一気に涙を浮かべたルークが、大きな音をたてて窓から姿を消した。
がたん、どかっ!
音の様子から恐らく落ちたのだろうと察して、ガイが慌ててカボチャを投げ出し、身軽に窓から飛び入った。
無礼は承知で窓枠を越えると、尻餅をついたルークが居て。

「…どうかしましたか?」
何か驚く事があっただろうかと不思議に思いつつもルークの脇の下に手を入れて持ち上げた。
そうするとルークはガイに飛びつく様に首に腕を回してきて。

「カボチャのおばけ!」

その言葉にガイは目を丸くして。
そして何かを思い出したのかくすりと笑った。

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