V

□ジャック・オ・ランタン
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「まだ怖いのか?」
くすくすと笑うガイに、ルークが面白くなさそうに眉を寄せた。
それからちょいちょいと指先だけでガイを呼んで。
「何だ?」
カボチャを持ったまま近づいて来た彼の腕を、ぐいと引き上げた。
重い音をたてて、カボチャが転がる。
「…な、何」
子供の様にひょいと持ち上げられてガイが少し不機嫌になる。
その顔を見て、ルークがにっと笑う。
「まだ怖いって言って欲しい?」
「まっさか」
その言葉にガイはわざとらしくおどけた。
「二十歳になろうって親友がカボチャのおばけが怖いなんて笑っちまうね」
「う…。ま、まだ十九だし…第一お前に言わせりゃ九歳だろ」
焦った様に言い訳しながらガイを窓枠に座らせる。
するとガイがくすくすと笑って。
「でもあれにビビるのは五歳までだぜ」
俺みたいに、ガイは言葉を飲み込んでルークを見上げた。
「うるせえなー…。怖くないって言ってんだろ」
「どーかな」
頭を撫でられて、今度はルークが不機嫌顔になる。
「餓鬼扱いするなよ」
「だって九歳なんだろ?」
上げ足をとってやるとルークは一瞬難しい表情をして。
その後、にやりと笑った。
「じゃあ餓鬼で良いよ」
「お。認めたか」
「うん、だから」
ぎゅうっとガイを抱き締めた。

「Trick or treat?…悪戯、するぜ?」

カボチャのおばけに照らされて。



end.
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