V

□きっと君が好き
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「初めから素直になれば良いものを」
「うるさい、バカ」
「お互い様ではないか?」
「…うるせえ…な…」
軽口を叩きながらもゼロスの背中を撫でるユアンは、そっと肩甲骨のあたりに触れた。
今はないが、きっともうすぐ使う時がきてしまうのだろう。
「背中が熱くなったりはしないか?」
「…しねぇよ」
「そうか」
ふと顔を上げてしまったゼロスが見たのは安心した様に笑うユアンで、何で見てしまったのだろうと少しだけ後悔した。

だって、まだ認めてやるつもりはないのだ。

どうやら色恋などマーテル以外とした事のないらしいユアンは、それでも全身でゼロスに好意を伝えているから。
それは「愛している」というより「大切」という類の様だけど、きっとその二つの違いなんて些細なものだ。
アイシテルからタイセツなんだろう?
だからゼロスはその好意は受け取る。
でも、まだ落ちてはやらない。
少しだけ、この距離感が気に入っているのだ。
ユアンが言葉にしてはっきりと伝えてくるまで、ゼロスは何もアクションを起こさない事にした。

(まだ認めてやらねーけどさ。あんたなら俺さま、一緒に堕ちてやっても良いかもしんない)

だから早く言って。



end.
好きなのは多分正解、だろ?
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