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□雨色
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慰霊碑の前にぽつんと立ち尽くす長身痩躯は酷く不安定。
「先生…オビト、」
細い細い声が。
「……雨だよ」

嫌味な程晴れた空に吸い込まれて。



【雨色】



Sランク任務で殉職者が三人出た。
それ自体は決して珍しい事ではない。
ただ、それが『写輪眼のカカシ』率いる隊だったという事を除いては。


酷い事を言ってしまった自覚はある。
いくら『写輪眼のカカシ』でも、自分達と同じ忍で、自分達と変わらない感情だって持っているだろう事は分かっていたのに。

「…貴方が、あいつを救ってくれなかったから」

イルカは握った拳で壁を叩いた。
じぃん、と痛みと冷たさが伝わって来て、まるでカカシさんみたいだと思った。
普段は自分を絶対の力で守ってくれるのにふとした瞬間に凶器じみた冷たさで突き放す。
ちっと打った舌の音が妙に響いて。


『何で守ってくれなかったんだ』
『あいつには、待っている人が居たのに』
『奥さんだって…子供だって』
『里で帰還を待っている人達が居たのにっ…!』

『貴方と、違って』


一度出た言葉は戻って来なくて。
後悔してもしきれない。
イルカは恨み混じりに再び壁を殴った。
そこへ。

「イルカっ」
「…何だ?」
慌てた様子の同僚がイルカの前に立った。
「カカシ上忍が…病室から抜け出した」


 
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