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□短編
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一緒にいる時間が長くなって思ったことがある
いや、前から思っていたのだが
まるで猫だ

新零が来てから
彼女の服や日常品を調達した
何がいいか聞いたが、特に興味もなさそうに
これと同じものと、フリルだらけの服を広げた
ホログラムの利用が進む今となっては、物として手に入れにくい品だ
結局、今まで外も中も含めて着ていたものを中心に似たものをそろえた

対して食べなくても生きていけるのか
数日帰らなくとも、置いておいた食料で適当に生き延びている
出かけ帰りに適当にお菓子と本を見繕って来れば、それで機嫌も取れる
話相手にもなる

まるで、ペットみたいだ
そう、やはり猫だ

年齢的に学生ということもあり
背は低く華奢であっても、生きた年数は13年
適当にセーラー服も与えたが、スカート丈が短いと言いつつ
たまに着ている
特に見たところで何も感じないが
その辺に、すぐに転がるせいで長い髪の毛の隙間から下着が見える
注意してやれば直すが
女性として、もう少し気にしてほしい

長かった髪も少しだけ切りそろえた
引きずらないように膝のあたりで切った
それ以上は譲れないらしい
前髪は、邪魔になる都度自分で切ったため
今もそうしている


彼女の面倒を見ていると自分は一体何をしているんだろうかと疑問に思う
殺そうと思えばすぐにできる距離だというのに
そうしようと思ったことは一度もなかった


「君は、変わっているよ。本当に」

『聖護も変わっていると思うわ』

「そうだね」

新零がいると退屈しなくていい




















槙島聖護という男は、やはり変だ
この前も本棚の上の方から本を取ろうとして
椅子から落ちたら、ひどく心配?された

それから、やたらと触ってくる
髪や頭、頬、唇
何がしたいのだろうか

最初は抵抗したが
力の差がありすぎて、されるがままだ
もう気にもしない

場所は変わったが
以前と大きく変わらないなと、思った
口にする物は、少しおいしいと感じるようになった


ここにある本が読み終わったら
死んでしまおうか
そう思ったこともあるが
居候しているうちに、どうせ長生きできないのなら
急がなくてもいいかと思った

名前で呼ばれることにも慣れた
人と話すことに、慣れてきた
人の体温に暖かさを感じた

この男が何をしているのかわからない
良くないことをしているような気は日頃しているが
私に触れる手も声も変わりがないので、気にしないことにしている

彼が潜在犯だろうと、犯罪者だろうと私には関係ない

リビングで、また1冊の本を読み終えた
本の置かれている部屋に行けば、上段の本がすべて床に積まれていた



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