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□番外
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番外2




『・・・?』

「・・・」

いつもの様にスッスッと歩くのではなく
少し力のない様子に読書の手を止めて視線を向けた

『どうかしたの?』

「・・・・・・」

そう言って、奥の部屋へと歩いて行く後姿を眺める

『・・・・・・休むの?』

「あぁ」

聖護の姿が見えなくなって、しばらく経った
あの様子は、風邪でも引いて熱でもあるのかもしれない
あの何とも言えない気だるさを思い出して、顔をしかめた

少しだけ気というものを使って
静かに扉を開けた

ベッドに転がり
視界を塞ぐように置かれた腕で表情は見えないが
おそらく寝ているのだろう

以前は寝ている聖護に近づくと、目を覚ましてしまうことが多かったのだけれど
ここ最近は、あまり起きなくなっていた
寝ている間に命を奪われる可能性のある場所で生活していたのだろうか
なんて、考えすぎ、本の読みすぎだと、言われるだろうことを考える

少し腕に触れると寝返りをうって、こちら側に身体を向けた

自分の人差し指と中指を伸ばしてくっつけ
残りの指は曲げた

その先端をピトリと聖護の額にくっつけた
物語では、こんな風にして何かを念じたりしているけれど
特に言葉も浮かばず、同じように自分の額にも当てた

『・・・・・』

熱があるのか、よくわからないけれど
これだけ触れても目を覚まさないのだから
通常運転ではなないのだろう










少し体の怠さを感じた
風邪を引いたのだろうか?
そう思い彼女のいるセーフハウスに戻りベッドに転がった
別のセーフハウスへ行くべきだったか・・・と少し考えたが
そんな思考も途中に酷い眠気に襲われた

「・・・・・・?」

体を起こすと、ポトリと体の上に何かが落ちた
まだぼんやりとした視界のなか、それに触れれば
濡らしたタオルだった

サイドテーブルに置かれたペットボトルに気づき
ふっと息をついた

誰がやったかなんて考えるまでもない

「せっかくなら、もう少し水を切って欲しいところだ」

湿った髪をかきあげベッドを出て扉を開ければ
足元にころんと白猫が転がった




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