妖狐×僕SS

□妖狐×僕SS@−2
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蜻蛉に許嫁がいるは、前から知っていた
別に嫌だとも思わなかった
だって、私は彼のお嫁さんにはなれないのだから





引っ越しをした

彼のお母様にはお世話になったので
丁寧にあいさつをしたら
「明翠ちゃん、美人になったわね」って、頭を撫でてくれた

私は、恵まれているようだ
父は私をモノとしか見ていなかったけれど
母は私を愛してくれた
あの日、母は泣いていて
ずっと、謝っていた
母は何も悪くないというのに


話を戻すけれど
引っ越しをしたのだ

メゾン・ド・章樫
2号室

世に言う同棲というやつらしい

「体調でも悪いか?」

『悪くないよ?』

「昨夜は楽しくて寝るのが遅くなったからな。無理はするなよ!」

『外で、そういうこと言わないで。勘違いされるでしょ!』

「別に変な意味はないぞ?」

『・・・そうですね』
この男と歩くと
目立ちすぎて困る・・・
各地に出かけてもそうだ

仮面にこの服装だけでも目立つというのに
発言も問題ありだ
声も大きい

「明翠と歩くとやはり目立つな」

『目立ってるのは、私じゃなくて蜻蛉!!』

「お前も十分目立っているだろう?」

『蜻蛉ほどじゃないよ』

「何を言っている?こんな美人は余所で見たことないぞ!」

『・・・・・・・・』

たまに、そんなことを言って笑っている彼を見て
ため息をつきたくなる

確かに、私の真っ白の髪は日本ではとても目立つ(海外でも目立つ)
染めているわけでもなく地毛なのだから、どうしようもない
黒か茶色に染めようとしたら、蜻蛉に全力で止められたのも
ついこの間のことだ

「ほら、明翠!早く行くぞ!!」

と、私の右手を取って楽しそうに歩く蜻蛉がなんだかかわいく見えた
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