遙か1

□夢の通路(かよいじ) ★
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今朝は、早朝より、四神の札を探すため、神子とは別に行動をとっておりました。
私独りでは、神子のお力になれるか心配で、天真殿と共に、勤めに出ておりました。

そして、土御門殿に戻って参りましたのは、日が傾き、空が茜に染まる頃。

八葉としての生活にも慣れたはずですのに、この日ばかりは、うっかり、夕食の後に、寝入ってしまったのです。











「永泉」
遠くから、聞き慣れた声で呼ばれる。


「永泉」
今度は、より近くから。

「永泉」
これは、夢、なのでしょうか。
私は、寝巻きを纏い、声の主を探す。


「永泉」
私を呼んで下さるのは、やはり、天真殿。
私が、ただ一人、お慕い申し上げている方。



「・・・天真殿」
名前を口にする度、胸が跳ね上がり、愛しくて、張り裂けそうになる。


「永泉・・・」
声が、日頃よりも、甘く響いてくる。
天真殿も、寝巻きを御召しだから、でしょうか。
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