遙か1
□おかえし ☆
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梅の花がほころび、雪の散らつく回数が減ってきた頃、天真は、にわかに永泉の身辺を探っていた。
これまでも、昔から永泉を知っていそうな友雅や頼久にあれこれ聞いていたけれど、一緒にいればいるほど、知りたくなる。
初めて思いが重なって、身体を重ねて。
それこそ、寸暇を惜しんで熱く甘い時間を過ごしてきた。
それでも、違うところがありすぎる。
年齢と性別以外、探せば探すほど違うところばかりが目立つ。
本当に、俺は、永泉と付き合ってていいのか・・・?
ふと独りになると、そればかり考えてしまう。
今日も、朝稽古が終わり、何気なく階で考え込んでいた。
「天真」
階の下から、頼久に呼ばれた。
「なんだ、頼久か・・・」
主人の屋敷の階に足を掛けることの出来ない頼久のために、自慢のスニーカーを履き、庭に降りる。
「お前らしくないぞ、考え込むなど。・・・私でよければ、話してみろ」
口下手な頼久なりに、気遣ってくれているのだろう。
頼久は、竹筒を渡すと、人気のない稽古場の片隅へ移動し、腰を下ろした。
天真も、黙って頼久のあとに続き、隣に座る。