遙か1
□ぷれぜんと★
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愛しい人と、異世界で暮らし始めて、初めてのこの日。
永泉は、ようやく慣れてきたシャワーを浴びていた。
いつも天真が帰ってくる前に、汗を流して帰りを待つようにしているから。
昼間に掛かってきた電話で、馴染みの相手から、今日が、愛しい人が生まれた日だと、教えられた。
この世界では、贈り物をしたり、宴を開いて祝うものだと。
それを聞かされてから、必死に、ささやかな宴の用意を、した。
普段から嬉しそうに食べるものばかり、そろえた。
でも、宴の用意に気をとられ、贈り物のことをすっかり忘れていた。
(どうしよう・・・)
熱めのシャワーを浴びながら、愛しい人が玄関を開ける瞬間を、想像する。
(きっと、誰よりも、私からの贈り物を期待しておられるはず)
何もない、と知ったときのあのヒトは、がっかりされるだろう。