遙か4
□あこがれ ★
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ここ数日、入浴を終えてから、布都彦は考え込むことが増えた。
道臣と出雲で生活していたときにも、今のように、大きな浴場でひしめき合って、体格のいい大人たちと入っていた。
もちろん、道臣とも肩を並べて入った。
そのときに、大人のモチモノを嫌と言うほど見た。
自分の幼さを、いろんな意味で思い知っていた。
けれど、今、天鳥船で生活するようになってから、これまで見たどれよりも群を抜いて立派なのが、二人いるのを知ってしまった。
どちらも甲乙付け難いけれど、確実に、布都彦よりも巨大。
決して下品ではなく、然り気無く大きい。
幼い頃は、大人は汚く品がなく大きいものだと無理矢理納得させていたけれど、今は、違う。
自身もある程度年齢を重ねてきた。
あの頃よりは、体つきもガッチリしてきたし、声も少し低くなった。
もちろん、破廉恥な場所も、大人に近づいたと思っていた。
それでも、上には上がいる。
二人の内の片方は、兄と命懸けで黒い龍と戦ってくれた、眼帯の人。
そして、もう一人は、彼より心引かれる、長身で優しい印象の人。
布都彦は、専ら、後者に惚れてしまっていた。
まだ本当の恋を知らない本人は、憧れているだけだと思っているけれど。