遙か1

□向こう側の向こう
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「頼久?」
甘い声に弾かれ、飛び上がるように、距離を作る。
「永泉様っ!これは、その・・・」
(眠っておられたとはいえ、私は、なんということをっ!)


竹林の隙間から差し込む夕日に、頼久の難しい表情に、永泉は目を細めた。

「ありがとう」
行為の余韻が残る気だるげな言葉運び。
「・・・何故、ですか。こんなにも、あなた様を」
責められはするが、頭を下げらるなど。

「これからも、この度のように、頼久の気持ちを、下さいませ」

夕日を受けた柔らかい笑顔が、眩しかった。


龍神の神子に使える八葉として、ではなく、一人の男として守り抜くことを、頼久は、改めて誓いを立てた日だった。


‐完‐
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