遙か4

□竹簡★
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独特の言い回しをして来る、すべてを見透かしたような、大人の男。
鬼道や呪術にも精通しているらしい、風早の悪友。

那岐の、柊に対する認識はその程度でしかない。

「解っているなら、お昼寝は、自室かいつもの場所でお願いしますよ」
「・・・めんどくさい。どうせ、あんた以外誰もいないだろ」
「やれやれ・・・」

わざとらしく困ったふりをすると、柊は、那岐の足元へ居座った。

「何のつもり?」
「せっかくですから、少しお話でも・・・」
「あんたに話すことなんて、何もないよ」
「まぁ、そう言わず、穏便にいきましょうよ」


そして、不気味に微笑んだ柊は、那岐の履き物を拐った。

「返せよ・・・」









急に、足元が寂しくなり、上体を起こす。

「君が寝返りを打ちやすいよう、配慮して差し上げたのですよ」
「そんなの、頼んでない」


出逢ったときから、柊のことを快く思っていない那岐は、裸足のまま蹴り上げてやろうと、長くてしなやかな脚を曲げた。
けれど、曲げるのと同じぐらいに足首を掴まれ、不発に終わった。


「いけませんねぇ。姫の側近で、幼い頃より共にお過ごしの君が、かようでは・・・」


柊は、つかんだ足首を持ち上げ、そのまま唇を寄せた。
一瞬唇が触れた後、別の生き物のような舌が、足首から足の甲を経由して指先へと流れ、甘く懲らしめていく。

「ちょっ、やめろよ。それ以上するなら、鬼道、使う・・・っ」

小さな果実のような指に軽く歯を立てると、びくっと小さく波打つ。
それを面白がるように、何度も繰り返す。
なんとか逃れようと足掻いて見せても、すんなり解放されるわけもなく、されるがままになってしまう。
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