裏僕
□贖罪の如く★
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「髪、乾かしたか?濡れたままだと、風邪引く」
「ありがとうございます」
斎悧は、手を動かすと、夕月の首に下げられたタオルで、少し荒く髪を拭いてやる。
(やっぱり、優しいな、斎悧さん)
夕月は、そんなことを考えながら、テーブルに置かれた雑誌に、何気なく視線を落とした。さっきまで斉悧の膝に置かれていた雑誌の表紙には、斎悧に似合いそうな服を着た外人モデルが、爽やかに笑っている。
「ファッション誌、ですか?」
「・・・」
「・・・す、すみません」
「何を謝る。あんたに着せる服を見てただけだ」
少し呆れたように、斎悧が覗き込む。
そして、テーブルのマグカップを夕月に持たせた。
「ほら。風呂上がりは、水分とらねぇとな・・・」
「・・・はい」
微妙な表情をしている夕月に、優しい笑顔を向けた斎悧は、夕月の柔らかい髪を拭き始めた。
「後ろ、向いてくれるか?」
夕月は、頷くと、斎悧に背中を向けて座り直した。
心地いいタオルドライを終えると、手櫛で簡単に整えてやる。
手早くヘアスタイルを整える手際の良さに、夕月は、引き込まれてしまいそうになった。
(あのときは、この手で、あんなところやこんなところを・・・)
「すみません。あのときは、その・・・」
「ただの儀式だ。気にするな」
スタイルが整うと、髪を扱っていた手が、夕月の腰に触れた。
「ひゃっ!」
「ここは、ちゃんと綺麗に出来たか?」
「・・・えっ、と」
「綺麗にしないと、あんたが辛くなる。そう言ったろ?」
「・・・それ、は」
これまでの、他のツヴァイルトたちとの儀式の後にも、同じように“後始末”をした。今回が特別ではない、けれど。
改めて聞かれると、どうしても口をつぐんでしまう。
「言えないなら、直に確認するしか、なさそうだな」
そう言うと、夕月を抱き寄せ、さっきまで髪を整えていた手を、パジャマのズボンの中へと滑り込ませた。