戦国うたたね

□青春万歳
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「あれ、幸村?」
「茜殿っ!?」

びっくりしているのは、茜と同じ部活の真田幸村。
赤色が好きで、年中暑苦しい人。
女の子が苦手で、側によろうものなら逃げ出すような人だ。

「あ、あのっ、その、某は、その……」
「買い物か何か?」
「いや、これは別に某の趣味ではっ!!」
「いや、何もいってないじゃん。」

あわあわと手と首を横に振りながら全力で否定する幸村に、思わず茜は笑ってしまった。

「誰かにプレゼントでも買うの?」

耳まで真っ赤にして俯いた姿を見れば、聞かずとも答えはわかった。
幸村が居たのは、かわいらしい雑貨が置いてあるお店。

熱血部活馬鹿の男子とは、およそ縁のないところだ。
あまり長居しては邪魔だろうと、また明日と言おうと思ったら、真っ赤な顔をした幸村が縋るような目でこちらを見てきた。

「茜殿っ!」
「?」
「某はっ、そのっ、かっかような場所は初めてで、そのっ」
「う、うん。落ち着こう?」

茜としては、慣れてると言われた方が反応に困っただろう。

「で、できれば、そのっ、一緒に……」
「居ればいいの?」

そういったらば、赤い顔のまま何度もうなずいた。

「か、かたじけない。」
「いえいえ。男一人でこの空間はさすがにきついでしょ。」

あきらかに、この店の雰囲気から幸村は浮いていた。
だから簡単に見つけられたのだが・・・・・・。
チラチラと送られてくる視線は、彼には堪え難かったらしく、すっかりと元気をなくしていた。



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