戦国

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「あの、なんで…助けて…くれたの?」

なんで私はすぐに立ち去らないのだろうか。
助けてくれてありがとうございます、さようなら、でさっさと立ち去れたのに。
不躾だとは思った。

けど彼は考えるそぶりをしてくれた。

「それは……、女子が襲われていたというのもあるし、多勢に無勢だったこともある。」

ポツリと言った言葉。
彼自身もよくからないのだろうか。
ただ、この人はそんなに悪い人じゃないんじゃないかなと思った。


簡単に信じるのは怖いけど。


「それにお館様の治めるこの甲斐であのように忍に襲われるのは見過ごせないでござるから」

ふわりとした笑みを浮かべた彼。
恐怖で固まっていた身体が少しほぐれたような気がする。



いや、今この人はなんて!?



「あ、あの、ここは甲斐、なんですか?」
「?そうでござるが?」

甲斐は豊臣ではない、では、国境を越えたことになる。
他国の忍がそんなに好き勝手にできないはずだ。

憶測ではあるが、少なくとも人が多いところなどではこないはず、来るなら夜や人気ない場所。

ヘタリと膝から力が抜けて地面に座り込んだ。


今までよりは襲われる回数も減るはずだ。


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