戦国

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手をあわせ、久しぶりにご飯の匂いをかいだ。
一口口に含む。
何日も食べていないからお腹は空いているはずなのに、しばらく食べていると何故だか気持ち悪くなってきた。

やばい、これ以上食べたらいけないって脳が信号を発してる。

カチャリと音を立て箸を置いた。


本当に気持ち悪い、なんでだ?


「いかがなされた?」

心配そうに声をかけてくる青年。


久しぶりに食べたのに……って久しぶりに食べるなら、こんな普通の食事だめじゃん!!
お粥とかにしないといけないんじゃ?


「あぁ、すいません、久しぶりに食事をとったのでお腹があまり受け付けてくれないみたいで」
「っ、最後に取られたのは?」

最後…いつだったかな?
七日ぐらい前かな?
逃げるのに必死であまり覚えてない。

「はっきりと覚えてませんが……七日前ぐらいでしょうか」

青年は驚いた顔のまま固まってしまっていた。

怪しまれたかな?
今ここで食べないと次にいつたべられるかわからないし、気合いと根性でなんとか食べよう。


うん、そうしよう。


そう決意すると再度箸を手に茶碗を持つ。


「無理をされないほうが……」

眉を八の字にして心配そうな顔を先程からくずなさい。

あぁ、そんな顔したら騙されちゃうからやめてほしいのに。


「大丈夫です。これからまだ歩かなくてはなりませんからね」

苦笑混じりで返せば、彼は俯いた。
それからは気まずい雰囲気の中、無理矢理お腹に詰め込んだ。

気持ち悪いを通りこして、吐き出したい気分だ。
いや、先程から込み上げてくるものを何度も堪えている。

出せばそれだけ体力が減る。
いつ何時敵が襲ってくるかわからないのだ。
食べれる時に食べておかなくてはいけない。



「でもやっぱキツイ……」

あてがわれた部屋で、あまりのやるせなさにダウンした。
気合いでは乗り切れないものはあるのだ。


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