戦国
□4
1ページ/2ページ
馬に乗る、乗らないの押収を何度かし、寺につくと近所のお手伝いさんらしき年配の女の人に湯殿に問答無用で連れていかれ、泥と垢と汗と血にまみれた身体を綺麗にあらってもらった。
さっぱりし、しかも着ていた物まで洗濯してくれているらしい。
至れり尽くせりなのはうれしいが、治療が終わってもすぐに出ていくことはできなくなってしまった。
寺、だから信用していいのだが、やはりこうも親切にされるのが不思議で仕方がない。
自分で言うのもあれだけど、かなり不審人物だと思う。
夕飯だと寺の者が伝えに来たので、後に従っていく。
部屋に入ると既に座っていた先程の赤い青年が顔を上げる、とわずかに目を見開いた。
その視線に気付かない振りをして自分も御膳の前に座った。
「あ、あの、」
今更ながら御礼を言っていないことに気付いた。
「ありがとうございました。」
深く頭を下げる。
まだ信じることはできない、だが、御礼だけは伝えたい。
どんな目的があったにしろ助かったのは事実だから。
「なに、某は当然の事をしたまで。お体の具合は如何でござるか?」
ふんわりとした笑みを浮かべる青年は、本当に人が良さそうだ。
「お蔭様で」
そう言ってまた頭を下げた。
多分相手は武家の人だから失礼があってはいけない。
「では、食べましょうぞ」
「あ、はい。」
.