戦国

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「(さな…だ…)」

その単語にはっとした。

「源三郎、さん、ですか?」
「そうだよ。」

優しい表情を崩さぬまま頷く信幸に恐怖が安
堵にかわった。
ばっと正座をする。

「やっと・・・・・・お会いしたかったです!」

自分の口からでてきたのは、懇願するような声。
相手が何かを言う前に、失礼だとは思ったけれども、伝えたいことを口にした。

「昌幸様に会わせてください!お願いします!!」

地面に額をつけた、いわゆる土下座をした。



会うためだけに逃げてきた。
会うためだけに走り続けた。
会うためだけに必死に生きのびた。



「顔をあげてくれないか?」

そう困ったように言う信幸の言葉を無視する。

「会わせてあげたいのだけどもね、それはできないんだ。父は三年前に他界したから。」


反射的に顔をあげた。


悲しい色を帯びたその瞳をみて、再度絶望という二文字が頭をよぎった。



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