戦国
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ふかふかの暖かいものにくるまれ、寝返りを打ちながら、今までのことは夢だったのだ、と思った。
パチリと目を開け跳び起きる。
布団の匂いが違う。
自室ではないと気付くのにそう時間はかからなかった。
広々とした和室、それも都会ではありえない広さのだ。
(ていうか、なんもない)
辺りを見渡しながら漠然とそんなことを思った。
ふと視界の隅に赤いものが写った。
視点をだんだんと上にずらす、と
「……。」
パチリと目があった。
昨日色々と親切にしてくれたにも関わらず、逃走してしまった相手だ。
何かを口にしなくてはいけないと思う一方で、何故この人はあんな端っこに壁にへばり付いているのかという疑問がまさり、なにも言うことができなかった。
「ああああの、ご、ごごご気分は、いい如何でござ、ござろうかっ!?」
キィィンと耳鳴りがする。
身構えることもできず直撃した一撃はあまりにも大きすぎた。
跳び起きた時の貧血も加わり、再び布団に沈んだ。
「ああ、あのいかがなされっ、誰かっ、さ、佐助ぇぇええ!!」
ワタワタとあわて、さらに大きな声で騒ぐ青年。
「しっかりしてくだされぇえ!!」
(……その声どうにかして下さい。)
ギュッと目をつぶり、ぐるぐると世界がまわる感覚を全身から汗が噴き出る感覚を味わいながら耐えた。
ワタワタと慌てている気配と誰かが側にきた気配。
しばらくして感覚がおさまるとそろそろと目を開ける。
「もう、だめでしょ、そんなに声張り上げちゃ!」
「むぅ、あ!!」
「何…、ああ、大丈夫ですか?どこか具合の悪いとこでもありますか?」
あきらかに従者だと思われる人に怒られている。
少し理解できない光景だった。
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