戦国

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ゆっくりと壊れ物を扱うかのように幸村は朔のことをおろした。

女中が置いて行った水のはった桶を引き寄せると、手ぬぐいで固定した右足を手にとる。
固定をとると幸村は眉を寄せた。

「痛みまするか?今薬師に薬を作らせますゆえ。」

立ち去ろうとした幸村の服をとっさに掴む。
その行動に相手は驚いたのか目をしばたかせた。


「あ、の……」

彼はこの人の部下だったはずだ。
どうなされた?と膝をつけ視線を合わせてくれるこの人は、本当に優しい。

「申し訳ありません。」

突然の謝罪に、意味を掴みあぐねている相手に伝える。

「相手してくれた忍の方……腕を痛めてしまったので。」
「佐助が、腕を……?」

呆然といったように繰り返す幸村に朔は顔を俯かせた。


「本当にお詫びのしようもありません。」
「いや、その……」

困ってしまったようだ。

「差し支えなければその方がいらっしゃる場所を教えていただけませんか?謝りたいです。」



謝って済む問題でないということはわかっている。

でも、だからといって謝らなくていいというわけではない。

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