戦国

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「いや、お前が俺の身代わりになろうとしたことが、らしい。」
「え?」


なんだ、それは。
どこにも怖がられる要素なんてないはずだ。


「それとお前に謝っていた。」

怪我のことをな、と言われ、改めて自分の腕を見る。
薬は塗ったし、一応わからないように添え木をしてある。

「それでだな、この通り朔殿はしばらくは動けぬであろう。」

幸村が示す視線の先には赤く腫れ上がった彼女の足首。
水から出し、水気を拭うとそっとおろした。

「そこで、お前に朔殿のことをしばらく頼みたい。」
「えっ、ちょっ、何を」

反論しようとした佐助に向かって、幸村が自分の唇に指をあてた。
起こしてはまずいと思い声量を落として言葉を発する。

「朔様は忍が怖いと、」
「朔殿が怖いのは殺気を帯び、音もなく自分に近づくような忍だ。」

主の発言に勘弁してくださいよ、と口を尖らせる。

「大丈夫だ。」
「何を根拠に……」
「俺の勘だ。」

自信たっぷりというこの主を殴ってやりたくなった。

「お前の怪我が治るまでの任務だと思えばよい。」
「……そうですね。」

休養みたいな仕事だという主。
だが、怖がられているとわかっている者の相手をするのは精神的に疲れるのだ。

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