戦国

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腕の中で眠っている少女の頬に残る涙の後をそっと幸村が指で拭った。
ぐっすりと眠り込んでいるようで、身じろぎ一つしなかい。


「佐助、おぬし、怪我をしたそうだな。」

襖の向こう側から幸村に声をかけられると佐助は姿を現した。

「面目ない……。」
「いや、俺はむしろ腕一本ですんでよかったと思っておる。
それも別に取られたわけでないからな。」

ぐっすりと眠っている朔の髪を幸村がゆっくりとすいた。


「佐助、戦ってみてどう思った。」

足を冷やしているから横にさせることができないのだろう。
佐助は視線をそらし、ボソリとつぶやいた。

「破廉恥じゃないのかよ。」
「む?何か言ったか、佐助。」
「いえ、旦那、何も!」


佐助は朔の側に移動した。

朔は見たところ、忍のように感情を隠すのは得意ではないらしい。
幸村よりもわかりやすい。

本当にぐっすりと眠っているのは、極限まで張り詰めていた緊張が一気に解けたからだろう。


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