戦国うたたね

□過去拍手夢
6ページ/6ページ



幸村は一途だ。

「ぅお館様のためにぃいい!」

幸村は努力家だ。

「精進あるのみっ!」

幸村は純情だ。

「は、破廉恥なっ!」

幸村は好戦的だ。

「政宗殿っ、お相手つかまつる!」

幸村は、幸村は


「……こんなんだったっけ?」

膝の上を見下ろしながら姫はつぶやいた。
気持ち良さそうに寝息をたてながら眠っている。

全くもって起きる気配がない。

突然自室にやってきた幸村は、座っていた茜を見つけるとそばにやってきて、いきなりゴロリと横になった。
あまりのことに、動くことも、声を出すこともできなかった。


そして、今に至る。


起こそうかとも思うのだが、あまりにも気持ち良さそうなので何もできずにいる。

頭をそっと撫でたらふわふわとしていた。
意外にやわらかいな、なんて思った。
起きるかな、とも思ったのだけれども、一向に起きる気配はない。

いつもは暑苦しくて、うるさいぐらい元気なのに、寝ている時は全くそんなものを感じさせない。



たまには、こんな静かな日があってもいいかもしれない。
限界に近い足のことを、頭の片隅においやると、もう一度幸村をみてそっと微笑んだ。

.

前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ