戦国うたたね
□過去拍手夢
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幸村は一途だ。
「ぅお館様のためにぃいい!」
幸村は努力家だ。
「精進あるのみっ!」
幸村は純情だ。
「は、破廉恥なっ!」
幸村は好戦的だ。
「政宗殿っ、お相手つかまつる!」
幸村は、幸村は
「……こんなんだったっけ?」
膝の上を見下ろしながら姫はつぶやいた。
気持ち良さそうに寝息をたてながら眠っている。
全くもって起きる気配がない。
突然自室にやってきた幸村は、座っていた茜を見つけるとそばにやってきて、いきなりゴロリと横になった。
あまりのことに、動くことも、声を出すこともできなかった。
そして、今に至る。
起こそうかとも思うのだが、あまりにも気持ち良さそうなので何もできずにいる。
頭をそっと撫でたらふわふわとしていた。
意外にやわらかいな、なんて思った。
起きるかな、とも思ったのだけれども、一向に起きる気配はない。
いつもは暑苦しくて、うるさいぐらい元気なのに、寝ている時は全くそんなものを感じさせない。
たまには、こんな静かな日があってもいいかもしれない。
限界に近い足のことを、頭の片隅においやると、もう一度幸村をみてそっと微笑んだ。
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