戦国

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赤い地に牡丹の花が描かれた手触りのよい着物。
一つに結わいていた髪は綺麗に結われ、簪は落としそうだからいいと断った。

あまり着物など着たことがないから、変に緊張してしまうし、動きづらい。


幸村がいる門の所にいく。
馬の隣に立っていた幸村はこちらを見る、と固まった。



「お待たせいたしました。」

ジィッとこっちを見てくる幸村。

「…幸村?」
「はっ、あぁ、そ、その、よ、よく似合っておられる。」
「ありがとう。」

馬の鼻面を撫でると顔を擦り寄せてきた。
馬がいるということは馬で行くのだろう。

幸村がひらりと馬に乗ると朔の方に手を差し出す。
意図がわからず手を重ねるとぐいと引っ張りあげられた。

「え、あああの!?」
「少し揺れます故、しっかりと捕まっていてくだされ。」

簡単に幸村の前に乗せられ、横座りなどという体勢で馬上にいる自分。

捕まる場所がなくて、トスンと幸村に寄り掛かってしまった。
瞬間ビクリと彼の身体が跳ねたが、すぐに、オズオズと腕で支えてくれた。


「だ、大丈夫でござる、か?」
「は、はい。平気で、す。」

抱くように支えられて、男に免疫のない朔が恥ずかしがらないはずがない。

なるべくバランスを崩さないようにと全身の筋肉を総動員させる。
幸村は幸村で真っ赤になり、緊張しているのが手にとるようにわかる。

そんな二人に会話が成立するはすもなく、


(……気まずい)


そんなことを始終感じながら道を城下までの道のりを過ごした。

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